中途採用比率の公表が義務化されます! 日本型の一括採用を打破

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中途採用比率の公表が義務化されます! 日本型の一括採用を打破

政府の雇用制度改革の一環として、企業に対し中途採用比率の公表が義務付けられます。大企業に根強く残る新卒一括採用の流れを見直し、就職氷河期世代やシニア層などの中途採用に加え、多様で柔軟な働き方が求められる中で経験者採用の拡大を図ります。常時雇用する労働者が301人以上の大企業が対象で、間もなく4月スタートです。

昨年の通常国会で成立した改正労働施策総合推進法に伴うものです。日本の雇用慣行のひとつとして「新卒一括採用」があり、現在も大企業を中心に残っている制度です。1990年代までの人口増加と経済成長期を支えた採用方式ですが、人生100年時代を迎えたいま、政府は働く意欲がある人たちの能力を存分に発揮できる仕組みへの転換を促しており、その一策として中途採用比率の公表義務化に踏み切りました。

 厚生労働省の調査によると、採用者全体に占める中途採用の比率は、企業規模が大きくなるほど低くなる傾向にあります。一方で、転職希望者から企業への要望で一番多いのは「中途採用の実績」となっており、今回の「流動性の見える化」で労働市場の変化が期待されています。また、政府は「成長産業への労働移動や流動化が企業の持続的成長を支えるイノベーションに欠かせない」と見ていて、企業側にもメリットがあるとしています。

「直近3年の情報」をホームページで公表

改正のポイントを整理すると、公表義務化の対象は常時雇用する労働者の人数が301人以上の企業です。企業内の過去の中途採用比率について、定期的(概ね1年ごとに更新)に公表しなければなりません。中小企業が対象から外れているのは、一般的に中小企業の中途採用・経験者採用の動きは既に活発に展開されているためです。4月の施行に向けて企業は準備が必要となりますが、公表は「直近3年の情報」としています。公表方法は「求職者が容易に閲覧できる方法」となっているため、企業のホームページでの開示が主流となる模様です。
この法律で言うところの「中途採用比率」とは、全社員に対して中途採用の社員が何人働いているかを示す割合を指します。公表にあたっては、単なる比率だけでなく、その企業の「中途採用に関する考え方」や「採用後のキャリアパス」「人材育成・処遇」など、定性的な情報の自主的な開示も推奨されています。もし、法制化される公表義務化に適切に対応していない場合、「硬直化した企業」として求職者からのイメージ低下につながりかねません。

今回の改正は、これまでの雇用の流動性を促す「理念政策」から一歩踏み込んだ「具体的政策」として注目されています。この動きを皮切りに、これから更に中途採用の広がりと一般化が進む見通しです。新卒一括の一辺倒で採用戦略を立ててきた企業においても、新型コロナウイルス感染拡大に伴う「ニューノーマル時代」を織り込んだ中途採用の基準や処遇など、攻めの人事戦略の整備・構築が急がれます。


取材・文責
(株)アドバンスニュース

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