経営側、労働側とも厳しいコロナ春闘 強まる「脱・一律賃上げ」ムード

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賃上げより雇用の維持が焦点になる可能性

 2021年春闘は、賃金交渉の方針や働き方に関する「労使フォーラム」を皮切りにスタート。3月中旬の一斉回答日に向けて労使の攻防が本格化します。昨年は攻防戦のさなかに新型コロナウイルスの感染が急拡大し、4月の第1次緊急事態宣言を前に大半の企業活動がストップしました。
 今年は第2次宣言の中での攻防となっていますが、労使とも大筋では昨年と同じスタンスで臨んでおり、双方「守りの春闘」になる模様。労使ともにこの1年、コロナ禍に振り回されてきた経営状況、生活状況を色濃く反映した主張になっています。

 今年の春闘で労使が掲げている目標について、経団連は(1)賃上げの必要性は認めるが、横並び・一律の賃上げは困難(2)コロナ禍における企業の存続、雇用の維持に向けた協議(3)テレワークの拡大、ジョブ型雇用など柔軟な働き方の推進、などを掲げました。
 これに対して、連合は(1)生活の底上げに向け、2%程度のベースアップと定期昇給分を合わせた4%程度の賃上げ(2)非正規雇用を中心とした生活保障、スキルアップ、就労支援をパッケージにしたセーフティーネットの構築(3)「コロナ後」を見据えた待遇の本格的底上げ、などを目標にしています。
 労使ともに、日本の労働賃金の水準が先進国で最下位クラスであることは認めており、「賃上げは必要」という認識では一致しています。しかし、生産性の向上が進んでいないうえ、コロナ禍が収束していないことから、経営者側は「一律の賃上げは無理」、労働者側は「底上げのための賃上げで経済の好循環を」と主張。両者に大きな開きがみられます。
 コロナによって苦境に立たされている運輸、宿泊、サービス業などに対して、中国市場の回復や"巣もり需要"で息を吹き返した自動車、家電、ゲーム業などとの業績の二極化が鮮明となっており、「脱・一律賃上げ」ムードが高まっているのは確かです。
 今年は、雇用情勢の悪化を背景に、賃上げ以上に雇用の維持が焦点になる見通しです。総務省の昨年の年間完全失業者は191万人(前年比29万人増)、失業率は2.8%(同0.4ポイント増)と11年ぶりに上昇。直近の昨年12月の場合、失業者は194万人(前年同月比49万人増)、失業率は2.9%に悪化しています。 
 コロナ禍で一気にクローズアップされたテレワークの推進は、一部の大手企業を除けば、まだ定着したとは言えません。多くの企業は1年前の緊急事態下であわててテレワークを導入したものの、通信環境の整備が間に合わず、職務範囲も明確になっていなかったことなどから、生産性の向上には十分結び付かず、緊急事態の解除と同時に元の出勤型勤務に戻す企業もありました。こうした危機管理に対する対応の差が業績格差につながっている側面も見逃せず、今年の春闘でどこまで対策を講じることができるかどうかが今後の経営を左右しそうです。

大企業の6割が「リアル・会場型」入社式

 大手学生就職情報サイトは2月9日、4月の入社式と新入社員の研修実施予定についての企業調査を発表しました。それによると、入社式を「行う」企業は84.2%に上り、形式も「リアル・会場型のみ」が76.2%でしたが、新人研修で「リアル・会場型が中心」は50.6%にとどまりました。入社式を行う企業は前年の93.7%から9.5ポイント減っています。
 入社式の形式は企業規模によって異なり、従業員299人までの中小企業は「リアル型」が87.6%を占めているのに対して、300~999人は77.3%、1000人以上では61.9%に減少、「リアルとオンラインの併用」が26.1%、「オンラインのみ」も11.9%ありました。
 調査は1月27日~2月5日に実施し、1174社から回答を得ました。 


取材・文責
(株)アドバンスニュース

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