テレワークはどこまで定着するか コロナ禍で注目、労政フォーラム

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個人と企業の関係を問いかける、先を見据えた提起

 労働政策研究・研修機構主催の労働政策フォーラム「新型コロナと働き方の変化~就業意識の変化と在宅勤務の動向」が3月8日に開かれました。コロナ禍で注目されているテレワークの可能性と課題について議論を深め、定着の可否を探るのが狙い。同機構の荻野登リサーチフェローが「在宅勤務をめぐる動向」、日本生産性本部の柿岡明上席研究員が「テレワークは定着するのか?」と題して提起。荻野氏は、企業調査などを概観し、生産性の向上に対する評価は半々で、今後の働き方はジョブ型と出社・テレワークを混ぜた「ハイブリッド型」に移行することを示唆しました。

 事例報告ではソニーの高田直樹▽凸版印刷の奥村英雄▽エーザイの真鍋裕人の3氏が、各社の取り組みぶりを披露。ソニーは早い時期からテレワークに取り組んでおり、高田氏はコロナ禍の昨年からは全社員が原則テレワークに移行した経緯を説明し、今後は「ハイブリッド型になるだろう」と見通しを述べました。
 奥村氏は、「ニューノーマルな働き方」の実現に向けて、凸版が進めているリモートワーク制度の概要を説明。真鍋氏は、エーザイが働き方改革の「第2ステージ」として日本型雇用の幅広い見直しに向け、「自己裁量」を高める労働時間制の導入を検討していることを解説しました。
 パネルディスカッションでは、テレワークにおける懸念事項、今後の人事制度の展望、政府への政策要望などを議論。3社ともコロナ以前から新たな人事・労務政策に取り組んできていることもあり、「コロナ禍でテレワークを導入したわけではないので懸念はない」(高田氏)、「今後、ジョブ型を意識した働き方は避けて通れず、テレワークはその一環」(奥村氏)、「ジョブ型希望者はまだ少ないが、日本型雇用を引きずるとイノベーションは生まれにくい」(真鍋氏)など、個人と企業の関係を問いかける、先を見据えた課題提起が相次ぎました。

兼業・副業認める企業は18%

 帝国データバンクが3月9日発表した「新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査」(2月)によると、社員の兼業・副業を認めている企業は18.1%で、4年前の2017年当時から7.7ポイント増えたことがわかりました。
 兼業・副業について、「積極的に認めている」が6 .3%、「やむを得ず認めている」が11.8%で、合わせると18.1%。「今後、認める予定」も18.8%(17年比3.4ポイント増)あり、「今後も認めない」は39.8%(同10.4ポイント減)に減少しました。
 しかし、許容度は企業規模によって異なり、「認めている」は小規模企業では21.7%ですが、中小企業は19.1%、大企業は13.1%。逆に、「今後も認めない」は各32.5%、38.3%、46.9%となり、企業規模が大きくなるほど認めない企業が多くなっています。
 政府は昨年7月の「成長戦略実行計画」で多様な働き方の推進を目的に「兼業・副業の環境整備」を明記し、同年9月には「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の改訂版を発表するなど、推進の方向を鮮明にしていますが、大企業では労務時間の管理や社会保険制度の適用などに課題が多いことなどから、慎重姿勢が目立つ結果となりました。

10カ月連続の減少、毎勤統計速報

 厚生労働省が3月9日発表した毎月勤労統計の1月速報値(従業員5人以上)によると、労働者1人あたり現金給与総額は27万2972円(前年同月比0.8%減)で、昨年4月から10カ月連続のマイナスとなりました。実質賃金指数(2015年=100)は84.8(同0.1%減)で11カ月連続のマイナス。基本給の所定内給与は同0.3%増でしたが、残業代などの所定外給与が同6.6%減となり、ボーナスの特別給与も同12.7%減でした。


取材・文責
(株)アドバンスニュース

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