5四半期ぶりのプラス、技能協調査 4月度の製造請負・派遣事業の動向

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人材需要が高まる分野で新規の採用難も

 ランスタッドが代表理事の要職を務める日本生産技能労務協会が5月24日発表した「製造請負・派遣事業動向調査」によると、4月度の業況判断DIはプラス6となり、昨年7月度(マイナス57)を底に回復基調をたどっていた業況は5四半期ぶりにプラスに転じました。業種間でバラつきはありますが、新型コロナの影響による取引先の休業が限定的となり、人材ニーズも回復傾向。人材需要が高まっている分野では、新規採用が難しくなっています。業況判断DIは「良い」と回答した企業の割合から「悪い」と回答した企業の割合を引いた数値。調査は4月中旬に実施しました。

 技能協が会員企業の協力を得て四半期ごとに調査しており、11年4月の調査開始以来、今回で41回目。定点で継続した同調査は、業界動向を探る指標として研究者や行政などからも評価されています。
 調査によると、今回の業況判断の理由として「業種によるが、需要が増加傾向」「取引先の生産状況がコロナ前に戻りつつあり、増員や欠員が増えてきている。一方で、求職者が少なく人材確保に苦戦」といった回答があったほか、人材不足に関して「都道府県をまたぐ移動の制限や新規就業者の入場制限などの影響を受けている」などの声が聞かれました。
 また、先行き3カ月後の予測DIはプラス15。さらに回復が期待できる理由として「減産傾向の取引先が少なく、ある程度のオーダー確保と新規取引先獲得が一定数見込める」「各産業分野で業績見通しが好転」などが挙がる一方、「半導体の供給不足や感染拡大、米中関係の悪化など先行きの不透明感は依然として残っている」と慎重な回答もありました。
 このほか、スタッフ社員(派遣・請負)の判断DI(不足-過剰)はプラス84で、1月度(プラス71)に比べて13ポイント上回りました。80を超えたのは19年10月度調査以来6四半期ぶりで、感染拡大前の水準に近付いています。回答企業67社の21年3月末現在の雇用人数は14万1274人で、このうち、スタッフ社員が13万2561人でした。スタッフ社員の内訳は派遣社員10万3943人、請負社員2万8618人となっています。

「雇用維持」と「実務支援」に注力、派遣協

 ランスタッドが理事の要職を務める日本人材派遣協会(JASSA)は5月25日、オンライン形式で2021年度定時総会を開き、新型コロナウイルス感染症への対応として、「派遣社員および従業員の雇用維持と保護」、「最新情報の提供と実務支援」を事業の柱に各種活動を展開していくことを確認しました。
 総会では、20年度事業報告と決算を満場一致で承認。21年度事業では、中核事業推進の具体策として、コンプライアンス支援の「労働関連法令セミナー」「JASSAリーガルテスト」、キャリア形成支援関連事業の「JASSAキャリアカレッジ」「キャリアカウンセリングスキルアップセミナー」「メンタルヘルス推進セミナー」などを拡充するとともに、オンライン開催の機能を高めます。
 加えて、派遣元責任者講習についても、「安全に受講できるよう会場での十分な感染対策の実施」「学習効果向上につながるオンライン開催の検討・実施」を推し進め、コロナ禍に対応した派遣社員と事業者の支援に注力する方針です。

4月の求人広告件数、前年同月比13.4%減

 全国求人情報協会が5月25日発表した4月の求人広告掲載件数(週平均・職種別合計)は86万1237件で、前年同月に比べ13.4%減。新型コロナの都市圏の第4波が長引いているため、今後も予断を許さない状況です。「飲食店スタッフ」が同26.4%減、「調理スタッフ」は同13.0%減、「運搬・清掃・包装」は同0.2%減。地域別では、中四国が0%、九州・沖縄においては同4.8%のプラスに転じました。


取材・文責
(株)アドバンスニュース

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