上場企業の2割が雇調金活用 財源ひっ迫、東商リサーチ調査

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雇調金の計上はさらに増勢をたどると予想

 東京商工リサーチが8月に発表した上場企業の雇用調整助成金(雇調金)の計上・申請状況は、昨年4月から今年6月までに807社にのぼり、上場企業全体の20.9%に達しました。同社は、緊急事態宣言の出た東京などに続いて首都圏3県などに拡大したことから、消費活動への打撃は避けられず、雇調金の計上はさらに増勢をたどると予想しています。このうち、計上額が判明した715社の合計は約4667億円に上り、昨年11月の約2415億円から2倍近くに。計上額で最も多いレンジは1億円未満の282社で、次いで1億円以上~5億円未満が272社となっています。

 業種別では製造業が321社、約1003億円で企業数は最多。観光などのサービスが150社、約960億円、外食を含む小売業が150社、約840億円となっています。計上額では航空・鉄道を含む運送業が49社、約1469億円でトップでした。
 コロナ禍で売り上げ不振にあえぐ企業にとって、雇調金は雇用維持を図る"頼みの綱"となっており、政府は特例措置の期限を年末まで延長する方針。しかし、雇用保険の財源がひっ迫しており、同社は「雇用保険料の引き上げも取りざたされている」としています。

男性育休取得率12.65%、初の二ケタ台

 厚生労働省が発表した2020年度雇用均等基本調査によると、20年10月までに育児休業を取得した男性の比率は12.65%(前年度比5.17ポイント増)と大幅に増え、初めて二ケタ台に乗りました。このうち、育休期間が5日未満の短期取得者は28.33%。これに対して、女性の取得率は81.6%(同1.4ポイント減)でした。
 有期契約労働者の場合、男性取得者比率は11.81%(同8.74ポイント増)と大きく伸びましたが、女性は62.5%(同15.0ポイント減)と大幅に減少。男性の育休に対する変化の兆しが垣間見えます。
 一方、女性管理職比率(従業員30人以上企業)は係長相当職が17.9%(同1.3ポイント増)、課長相当職が10.1%(同0.2ポイント減)、部長相当職が6.2%(同0.7%ポイント増)、役員が14.6%(同1.0ポイント増)など、増加傾向にあります。業種は医療・福祉、生活関連サービスなどで目立ちます。
 調査は昨年10月1日時点の状況について実施、常用労働者10人以上の6000社のうち3326社から有効回答を得ました(回答率55.4%)。

会社にいるのは「3年以内」が28%、今年の新入社員

 学生就職情報会社が8月に発表した「2021年新入社員の意識調査」によると、入社した会社にいる期間は「3年以内」が最も多い2 8 . 3 % で、「定年まで」が1 6 .6%、「4~5年くらい」が14.4%、「10年以上」が10.0%、「6~10年くらい」が8.3%でした。
 「10年以内」を考えている人が51%と過半数を占めており、1年前の50.3%を少し上回りました。
 「10年以内」を男女別にみると、男性の42.5%に対して女性は59.3%と女性の方が多く、その理由として「結婚・出産などライフステージに合わせて働き方を変えたいから」が多数を占めました。男性の場合は「転職でキャリアアップしていきたいから」が多く見られました。この傾向はコロナ禍前と同様です。
 一方、「定年まで」は男性の19.0%に対して、女性は14.3%。「分からない」が男性が26.3%で、女性は18.8%となり、男性では最多。入社したばかりで、自分の将来図についてはまだ明確な青写真を描いていない様子がうかがえます。
 調査は21年卒の新入社員を対象に6月25~28日実施、男女各400人の800人から有効回答を得ました。


取材・文責
(株)アドバンスニュース

 

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