職業紹介「求人不受理」の対象拡大 改正育介法に対応、22年4月から順次施行

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厚労省、就職後のトラブルの未然防止が目的

 厚生労働省は、労働関係法令違反を繰り返す企業からの求人をハローワークや職業紹介事業者が受け付けないこととする「求人不受理」について、不受理の対象条項を拡大します。来年4月から順次施行される改正育児・介護休業法に伴う対応で、「妊娠または出産について申し出をしたことを理由とした不利益取り扱いの禁止」などに該当した企業。8月24日、厚労省が労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会(山川隆一部会長)に職業安定法施行令の政令案要綱を諮問し、了承されました。同26日には上級審の同分科会で「妥当」と答申され、確定しました。

 就職後のトラブルの未然防止を目的に、厚労省は不受理の対象となる違反の程度や期間を政令と省令、指針で明記。また、対象条項を施行令で、対象となるケースを施行規則で規定しています。
 新たに追加される3つの違反対象と施行期日は、
(1)妊娠または出産について申し出をしたことを理由とした不利益取り扱いの禁止(2022年4月1日)
(2)出生時育児休業申し出に関する企業の雇用管理上の義務(2022年10月1日)
(3)出生時育児休業申し出をしたことを理由とした不利益取り扱いの禁止(2022年10月1日)
ーーとなっており、8月26日に開かれた職業安定分科会を経て、労政審の正式答申となりました。
 2020年3月に設けられた現行の規定では、労働基準法と最低賃金法において、過去1年間に2回以上、同じ条項の違反で是正指導を受けた場合に「是正後6カ月経過まで不受理」。送検・公表された場合は「送検後1年経過まで不受理」。また、職業安定法において、法違反の是正を求める勧告に従わず公表された場合に「是正後6カ月経過まで不受理」となっています。

4割近い8900事業所で違法残業

 厚生労働省は8月20日、長時間労働が疑われる事業所に対する2020年度の労働基準監督署の年間監督指導結果を発表しました。それによると、対象になった2万4042事業所のうち、37.0%にあたる8904事業所で違法な時間外労働を確認、是正・改善を指導しました。
 違法事業所のうち、月80時間を超える時間外・休日労働をさせていたのは2982事業所あり、そのうち月100時間を超えていたのが1878事業所。月200時間を超えていた所も93事業所ありました。
時間外労働のほかには、賃金の不払い残業が1551事業所、過重労働に対する健康確保措置を実施していなかった所が4628事業所。業種別では「商業」が監督指導で6412事業所、法令違反で4657事業所と最多でした。

8割以上「人事戦略に影響なし」、最低賃金

 東京商工リサーチが8月19日発表した最低賃金(最賃)引き上げに関する企業調査によると、83.4%にあたる大多数の企業が「当面の人事戦略への影響はない」としましたが、5.4%にあたる約500社は「非正規従業員を削減する」と答えたことがわかりました。同時に、「正規従業員を増やす」企業が9.8%にあたる914社にのぼり、最賃の及ぼす影響が一様ではないことがわかります。
 最賃は今年、全国平均で28円(3.1%)の大幅アップが決まりましたが、「人事戦略に影響なし」と答えた企業を規模別にみても、大企業(資本金1億円以上)が89.7%、中小企業(同1億円未満)でも82.3%にのぼり、大多数の企業は最賃アップを気にしない様子。この受け止めから、すでに最賃を超える人件費水準にあることがうかがわれます。


取材・文責
(株)アドバンスニュース

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